ちーくん

泣き虫しょったんの奇跡のちーくんのレビュー・感想・評価

泣き虫しょったんの奇跡(2018年製作の映画)
4.2
これは個人的傑作。自分は将棋じゃなくて囲碁でしたけど、その中でも将棋で言う奨励会みたいなところに何年間かは在籍してプロを目指していたからこういうのを観るとどうしても熱くなってしまうし共感することも多いですね。自分が本作に特に違和感も無く共感することが出来たのは、自身も奨励会に在籍していたことがある豊田さんが監督脚本をしていることも大きいと思います。瀬川さんみたいな年齢制限がかかるまでやり続けた人や、監督や自分みたいな自ら辞めた人もひっくるめて、やはりそこに居たことがある人にしか分からない感情や表現が多かったですね。自分にはこれしか無かったのに。何でもっと必死になって勉強しなかったんだろう。何で将棋なんか始めちゃったんだろう。将棋なんかやらなければ今頃...。これは死ぬ程分かる。だから年齢制限がかかるまでやり続けた人は沈むような感覚になるのも分からんでもないなと思う。何しろ終わった瞬間には未来に希望もなければ絶望しかないわけだから。瀬川さんはプロになれたけど普通は出足が遅れた社会人になるわけで。ただ、國村さんみたいなお父さんがいれば本人にとっては物凄く助けになるだろうと思う。親といえどこんなに理解がある人は素晴らしいし、これが立派な両親の形なのかなと思います。これを観たら同時期に奨励会にいて間近で見てきた豊田さんに村山聖の人生を撮ってほしいなと思った。個人的に「聖の青春」は何かしらの違和感が最後まで拭えなかっただけにね。いやぁでもこれは良い映画でした。傑作。
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