北野映画は初期から中期？ぐらいまでが好みだけど『アウトレイジ』は普段そこまで映画を観ない友達も観ていたので友達がたけし、私がマル暴の小日向文世の物真似をしながら遊んだこともあり宝物のような映画です。
そして今回も真似したくなるようなシーンは沢山あったのでその時点で満足。
加瀬亮の信長は圧巻だったしビートたけしが破滅願望や陰鬱さ、カリスマを感じさせない人物を演じたのが新鮮。
ずっと笑わせてもらった。
それ故に過去の傑作のヒリヒリした感じはあまり無かったかも。
コメディ要素が強いと分かっていたけど思っていた以上に爆笑。
それでも予告編で楽しみにしていた台詞も肩透かしだったのは少し残念だったので観たかったものと違うと感じる人の気持ちも少し分かる。
北野武(ビートたけし)は昔から当たり前に差別されたり差別したりしてきたと自覚している人だと思うけど過去作には怒られるような表現がよく入っている。
黒人や同性愛者の描き方はどうなんだなどと批判的な声も少なくなかったし自分も北野映画はずっと好きだけど何でこんなことやるんだろうなぁと疑問に思っていたところでもある。
ポリコレうんぬんもあるけど急にそれやって面白いかな？という感じもあった。
そんな北野武の今の感覚が分かるようなシーンがあってそれが物語的にもちゃんとハイライトになっていたように感じてとても良かった。
全体的に武士の文化をいじっているのが痛快で切腹する様子を覗いて「さっさと死ねよ」や「まだやってんのか」は笑った。
景気よく生首や断面も惜しみ無く出していたけど今までの作品のような痛そうなシーンは少なかったように思う。
比べるものではないけど同じくお金をかけた『レジェンド&バタフライ』が別の企画でやれよ(大河ドラマかロマンポルノ)と思ったのに対して本作は北野武の時代解釈ということで映画として筋が通っていたように思った。
