LcK0812

首のLcK0812のレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.4
愛ではないが、情はある。
欲に支配された人物たちの滑稽さ、愚かさ、そして勢いがみっちり詰まった映画だった。

時代劇エンタメとして、当時の風俗や慣習、常識などを踏まえつつ、きっちり現代へのエンタメに仕上げているのは見事の一言。
冒頭に出てくる撫で斬りシーンなど、当時の野蛮さ、中でも信長のちょっとイッちゃってる部分としてとてもわかりやすい。
後半で、常識人のようにふるまっている光秀の狂気が見えるところなど、とても良かったです。

とりあえずこれをBLのカテゴリにするのはちょっと……衆道はあくまで上下関係の確認ですからね。
たけし軍団の無茶振り芸的なものだと思っていただければ。

個人的に、TOHO伊丹(有岡城)で見たので臨場感ハンパなかったです。
また短刀に刺した餅を食わせるのは荒木村重の有名エピなんで、そこをああいう演出にするのも巧すぎておもわず手を叩きそうになりました。

俳優さんがとにかく素晴らしく、なかでも寺島進はズルいの域。
遠藤憲一と浅野忠信の黒牢城も見てみたくなりました。
キム兄の御伽衆になりたい抜け忍はだいぶオイシイやつですね。

歴史を知ってるとひたすらニヤニヤ、知らなくてもたぶん楽しめるいいエンタメ映画でした。
LcK0812

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