※この映画には、精神的・物理的な暴力のシーンがあります※
年齢制限こそつかないが、数分に一回のレベルで人によってはフラッシュバック、または席をたって逃げだしたくなるシーンがあります。
だとしても、見る価値がある。
そうはっきり言えるほどには、社会から阻害された人、誰にも叫びなんて聞いてもらえないと思っている人、どうしようもない孤独や悲しみをすくいあげる力がある。
原作も重かった。
だから映画化決定の報を聞いたときに、いい感じのハートフルとセンセーショナルな暴力で終わるんじゃないかと危惧していた。
結論だけいえば、誰の胸もしめつける原作を、厳密に映像化した傑作となった。
アンさん役の志尊淳は、連続ドラマ女子的生活で男性から女性へのトランスジェンダーを演じている。
その経験や評価を踏まえ、今作での演技は日本の映画界でもっとも先端、トップに躍りでたとさえ感じた。
さらに主演の杉咲花は、ヤングケアラー時代からの変貌ぶりが素晴らしすぎた。
ぶっちゃけ朽木ルキアぐらいしか覚えてなかったのだが、今後も注目していきたい。
ウィッグだと思うが、手入れされてない前髪のない髪型がリアルすぎる。
0.1点だけマイナスしたのは、監督が身体アクションを撮影するのが下手ってところだけです。
アクション映画を好んでいるもので、とあるシーンでそうはならんやろ! とつい思ってしまいました。
そこを引いてもエモさ、音楽との相性、色彩設計など、涙がとまらなくなる映画なのはまちがいないです。