六四二

破壊の自然史の六四二のレビュー・感想・評価

破壊の自然史(2022年製作の映画)
4.0
実に緻密な構成のドキュメント映画だ。
第二次世界大戦のドイツとイギリスという敵対する2国について、兵器の製造から兵站にいたる銃後の ‘戦い’ といっても淡々と進行する戦争準備の対比を見せる貴重な映像が映る。ここではベンツ VS ロールスロイスに代表される国家の威信をかけたバチバチ。
そして空爆実行の映像。その結果の破壊の跡。消火と瓦礫の始末、死体の...
爆撃機の翼に付いているのがラウンデルなのか、ハーケンクロイツなのかを見なければ、無差別(に見える)に都市を襲っているのがドイツなのか連合軍(英?)なのかわからない。両者が互いにそれを実行している映像を見せて、どちらか(ふつうは独だろうな)を悪と断じる視点はとっていない。そういう立ち位置のこの映画は貴重である。
戦争をすることは人類の業であり自然なことではないのか?という痛烈な人間批判の映画と見える。シニカルだが言い得て妙なるタイトルである。
六四二

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