2024.9.13
手が印象的な官能的作品。
元々はオムニバス映画用に作ったものを中編にしたもの。
至ってシンプルで動きはほとんどない。多くを語らず、俳優の表情や意味を連想させるような仕草で魅せる。
服を仕立てるということにエロティックなものを感じたことはなかった。女性の身体に合うものを作る。女性の身体を知り尽くさなければならない。この話の流れは大人の世界というものを感じさせる。いつか、私を輝かせてみなさいと言う女の自信と強かさ。女を引き立てることに自分を捧げる男。純愛を貫いた男と、没落していった女。この2人の間に愛はあったのかな。最後のチャンの表情が切ない。
バンドジョブで始まり、ハンドジョブで終わる。独特な雰囲気で、狭い世界ながら奥行きが感じられる。
ウォン・カーウァイ作品らしくないと言えるほど、カメラワークが落ち着いている。純愛というテーマも初めてじゃないかな。
官能的ではあるが、基本的に見せ場はそこだけ。コン・リーの美しさはもちろんだけど、作品を面白くしているかと言われればそうではないように感じた。ただただウォン・カーウァイがセクシーなものを撮ろうとした結果、ちゃんと艶のある作品が出来た。それ以上でもそれ以下でもないかな。