幼馴染の友人同士である男二人の片方に彼女ができたことにより、友情関係が徐々に崩壊していくお話
暴力的で抑圧的な友情関係が冒頭から映し出されて多分この暴力的な友情関係を批判する映画なんだろうなと思いきや、映画は「抑圧する側」の人間の生活を映し出してより複雑な関係性を描き出していて意外性もあり面白かった。一言で「幼馴染の友人」と言っても二人の関係には明らかに強者／弱者の構図で成り立っており、一目しただけで不健全な状態であることがわかる。しかし映画が進むにつれて徐々に二人の隠れていた過去や事情が明らかになっていき、同時に「彼女」の存在によってだんだんと溝が深まっていく様がかなり気まずくて面白い。
終盤のある出来事からの「間違いなく何かが起きる」と思わせてくる演出の数々が見事。車を運転している主人公の背後で画面内に侵入する白いバイク、宝くじを買いに画面からフェードアウトし、待っている人の様子を映し続ける場面...など、お手本的ながらもしっかり効いていて良い演出。
恋愛にうつつを抜かす者と、自身の暴力性を自覚しながらも抜け出せない者の対比構図がかなり良いし、一言では解決し得ない問題がより複雑さを極めていく過程やサスペンス的な要素によって物語も盛り上げられていて予想以上に面白かった！
