おどろきの白鳥

PERFECT DAYSのおどろきの白鳥のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.9
「東京国際映画祭(TIFF)」開催記念の、先行上映で拝見。
木漏れ日や、小さな木の芽を見て慈しむ男の過去に何があったのか。
全てが明らかになるわけではないが、語らず察してください、という作り。
毎日のルーティンの中に、「事件」ともならない程度のわずかな差や些細な出来事が心の揺らぎをもたらし、ともすればうっかり寝ちゃうくらい淡々とした作品。
役所さんの表現力と存在感がなければ、もたないレベルに思えたのでした。
カンヌなど映画祭で、日本人メンタルを深く表現した点を評価されるのはよくわかりますが、日本の観客にはこの侘び寂びのような映画は興行的にどうかな……?

そもそも基本的に面白い映画ではないです。
これは素敵な生き方ではなく、こういう生き方を選ばなければならないほど、貧しく傷ついた日本人を憐れむ話なんだな、と理解しました。
そしてそんな傷ついた老人たちの哀れさを、愛おしく抱きしめるような視点というのは、役所さんにしか許されてないような。
結婚と離婚を優雅に繰り返す、外国人性豪耄碌じじぃ(ヴェンダース)からそんなに日本人を見下される覚えはないんだが……
という反感も少し感じたりして。

石川さゆり、三浦友和、研ナオコの登場の仕方にドッキリ。