“東京・天使の詩”
監督:ヴィム・ヴェンダース
主演:役所広司
名監督と名俳優の奇跡的出会い
役所広司演じる主人公の名前が「平山」
これって小津監督作品『東京物語』と『秋刀魚の味』で笠智衆が演じた役名と同じ
いきなりそうきたかぁと思わずニヤリ
毎日同じルーティンで過ごす公衆トイレ清掃員の平山をファインダー越しに見つめるヴェンダース監督の眼差しはとても優しく穏やか
そして彼の生活する街の風景はとてつもなく美しい
「いつかはいつか、今は今」
一見同じに見える毎日の生活に起こる些細な変化や出来事にも優しい眼差しを向ける彼
時折過去を伺わせる出来事が起きてもそれに心乱されることなく、ひたすら今を大事に生きる彼
それは彼の周りの人々にとっても同じこと
平山の家の前の道を掃除をする老婆
平山と同じ場所でお昼を食べるOL
平山が仕事帰りに寄る飲み屋の主人
平山が休みの日に立ち寄る写真屋や古本屋の店主
そんな人々の生活を見ていると、そこには職業や経済的事情など入り込む余地などない、人間が生きていく上でとても大事な事があるということに気付かされます
ただその先の“死”を描くこともヴェンダース監督は忘れていません
役所広司と三浦友和という名優が対峙するシーンは本作で最も緊張感高まるシーン
そしてラストシーン
ニーナ・シモンの曲をバックにシネスコサイズいっぱいに映される役所広司のロングカットに涙腺崩壊😢
これだけの演技ができる俳優が今の日本にいるのだろうか?
カンヌでの主演男優賞受賞も納得
役所広司は天使になった!
p.s.
平山の好物が小津監督が眠る地のお菓子
これもさりげない小津オマージュ?
p.s.2
あがた森魚のギターをバックに歌う石川さゆり
これもある意味奇跡か?w