・簡単にいうとヴィムベンダースの考える「清貧」っていうことなんだと思う。
・日常のカットは美しく、日々気に求めないような儚く細やかな美しさに対して、ひとつひとつ拾い上げる姿、自分の仕事を慎ましく丁寧に行ない、一つ一つの作業もきめ細かい、まさに一時期の日本人の美徳(とされていた価値観)を体現してるともいえる
・ただ、理想は理想というか、役所広司の役柄のソーシャルワーカーとして肉体労働に従事しながら、「文化的」な営みを続けていくことのリアリティのなさというか、静かで文句を言わずに自分の仕事を好きであってくれ、そうであって欲しい、を押しつけている感じもしてちょっとグロいなと思った。
・↑のような姿を、「僕はこうありたいけど、こうなれない」という立場で描いてる気もして、なんというか、カチンとくる感じがする(被害妄想的な眼差しはもちろん含む)
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⚫︎追記
・とはいえ、映画は全体のトーンとして完成度が高く、特に役所広司の演技は、セリフの少なさの中でさまざまな感情が読み取れる独特の役所広司感(犬っぽさと自分は思ってる)が素晴らしかった。