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PERFECT DAYSのchopsticksのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.1
年の暮れ、そしてお正月映画にうってつけではないかと。
この映画で一番評価すべきところは、過去に東京タワーを綺麗に撮った映画は多いですが、自分の中ではスカイツリーを美しく撮った映画ランキング暫定1位です。そして役所さんの最後の泣き笑い。これはカンヌ男優賞納得でした。中年男の悲哀というかあれを最後の車中の表情だけで魅せていました。
子供がニコニコしていると微笑ましいですが中年男がニヤニヤしていると不気味だったり、でもどーでも良いことでああいう表情出ることありますね。あれは万国共通なんかな。

また、元々この映画を見てみようかなと思ったことの一つに公衆トイレの存在がありますが、元々公衆トイレを一新させるプロジェクトのようなものTHE TOKYO TOILETがあり、監督にその一環で映画撮りませんかと話しが舞い込んだらしいですね。ヴィム・ヴェンダース監督はU2のSTAYのMVや、ミリオンダラー・ホテルなので街並みをクローズアップして
わりと見ごたえのあるものを撮っていたので少し興味があり、実際普段は壁が透明でロックすると不透明になる坂茂設計のトイレなどをうまくストーリに馴染ませていました。

ただ、ちょっと難点をいってしまうとあまりストーリーに起伏がないんですよね。これはブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの時にも感じましたが。なんか話の半分くらいからルーチンワークの場面での映像が同じようなものが
何回も使われて(朝起きて戸を開けて見上げるシーンや古本屋に行くシーン、最後にも流れた謎の映像など)これって実験映画?と惑わされてきたりもしました。これは監督の味だと思います。穿った
見方をするとアハクイズみたいな
前の場面と微妙な違いがありますが分かりますか的な感じで試される感じ



昔、フィンランドの日本食堂を舞台にした映画でおばちゃん達の日常をベースにした「めがね」って作品がありましたが思い出しました。あとは三浦友和のエピソードでバベルのイニャリトゥ監督 が撮ったBIUTIFUL を思い出しました。

外国人から見た日本のためなのかソフィア・コッポラのロスト・イン・トランスレーションという映画でも感じましたが日本が美化され過ぎてあまり醜いところが出てこないんですよね。一応謎の体操をする老人や耳を触りたがる変な少年、子供を助けて貰ったのにお礼しない無礼な主婦、掃除中のボードを蹴飛ばすリーマンなども出てきますが、まずトイレの話なのにそもそも掃除する前からトイレがピカピカだし、役所広司さん演じる平山は部屋にはテレビも冷蔵庫もない布団とカセットだけの部屋なのにやたらとでかい車に乗ってるんですよね。カセットをあんなに高値で売買する人いるでしょうか。
居たらかっこいいんですけど。
そして外人ばりに別れぎわに兄弟や親せきでハグするし。あれは仕様がないかなあ
また、ちょっと主人公の都合のいいように美しい女性陣が次から次に出てきたように思います。役所さんばりにかっこよければ分かるんですけど彼は役どころ的に冴えない孤独な中年男を演じてるのでは? 

 なお、映画の舞台にもなった渋谷で見たので楽しめたのとBGMの演出は非常に良かったです。ルーリードやパティスミスの楽曲、映画にマッチしてました
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