Red

PERFECT DAYSのRedのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.3
平山の過去が知りたいと思った。
エンドロールまで観て余白と影を残す映画だなと思った。

毎日を淡々と同じように繰り返す日々でも、葉と葉の重なり具合が違ったり、光の角度や差し込み方が違ったりと、それは木漏れ日のように全く同じ時はない。
木漏れ日。光と影のゆらぎ。
光があるから影がある。光があってこその影なのだ。
平山のふと見せるあの多幸感に満ちた笑み、そして哀しみはまさに木漏れ日の光と影のゆらぎそのものだった。

スカイツリーを中心にその外側で繰り広げられる平山の生活は都心とは対照的にアナログな世界で生きている。
カセットテープから流れる古い洋楽の数々、フィルムカメラ、古本...。

自分の人生の余白を自分なりのデザインで豊かに出来る人って羨ましいなと思った。
人生における余白や孤独に対して、それを自らの力で彩り豊かに変える術を知っている人って強くて美しいなと思った。

お金で買える贅沢ではなく、お金では買えない贅沢をたくさん知っていてその時間をその瞬間を愛おしいと思える人でありたいとつくづく思う。

PERFECT DAYS.
事前情報なしに観る前は”素晴らしき日々”だと思っていたけれど、鑑賞後の感じ方はこれとは少し違った。
特別にあげつらうべき点はなく、十分に満足できる様子を表現した”申し分のない”がまさにぴったりだと思った。
“申し分のない日々”
こんなふうに生きていけたなら。

緑の木々そよぐ風に陽が射す美しさ。
この美しい情景を外国語では訳せない”木漏れ日”という4文字で表現できる日本語の感性に敬意を込めて。
Red

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