ぽんず

PERFECT DAYSのぽんずのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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シンプルにいえば、平山という人間の生活を観るだけの映画。
でも、鑑賞者の価値観を変えてしまうパワーを秘めた作品です。


公共トイレの清潔さ、ユニークさ。新宿御苑の前?代々木公園前?のガラス張りのトイレを筆頭に、木材が埋め込まれたトイレ、螺旋形のトイレ。
ガラスのトイレは監督もえらく気に入ったのか、割と出てくるけど、誰がどんな意図で造ったのやら。
あとは、首都高は割と多かった、首都高って外国の人も驚くぐらいユニークで複雑なつくりで、東京の特徴でもある。都民からすると当たり前だけど、確かに施工した人凄いなとは思う。
浅草の小料理屋に昔ながらの銭湯、神社やコインランドリー。
日本の文化・街並を世界に伝えているような作品でした。

・日々の小さな幸せを描く映画
映画も、主人公平山のルーティンワーク(決められた生活)を淡々と描いている作品。
見るからに古い家に住む主人公平山。
お婆さんの掃き掃除の音で目が覚め、決められたルーティンで身支度しトイレ掃除の仕事へ。昔のカセットをBGMにシフト通りの各地へと。仕事が終わり近くの銭湯へ、その後は浅草の飲み屋で晩酌し、帰宅し就寝前の読書。休日も馴染みの店に赴くルーティンは変わらず。。
だけど、その日その日で見つける小さな幸せや喜び。
公園で昼休憩をするOLと会釈する仲に、迷子の子供と触れ合う時間、どうしようもない同僚の些細な良い所、見知らぬ人との〇×ゲーム。

隣の芝生は青く見える処か、主人公の平山は目の前の幸せを大事に大事に生きている人間だというのは、誰しもが作品を通して強く感じます。
パッと竹内まりやの『幸せのものさし』の「隣の芝生が青く見えたら、この庭に花を植えればいい。」という1フレーズが下りてきて、僕な好きな曲だったので人知れず感慨深くなりました。

作品を通して、平山という人間の生き方を見ていき、つまらない人生と思うのか素敵な人生と思うのかは人それぞれ。
僕は、挑戦しない理由にはしたくないですが、素敵な映画だと思いましたし、映画を通して新しい価値観は植え付けられました。

・平山という男
本作では、平山という男の過去は全く描かれず、故に本人が何故今の生活をしているのかが分かりません。ただ、作品中盤に姪っ子が家出をしに平山を訪ねます。その姪っ子の言動や、姪っ子の母(平山の妹)が運転手付きの高級車迎えに来るなどで、どんな過去だったのかや、何年も父とあっていないなどの言動から確執も推察されます。
恐らく、元々は裕福な家の出でそれなりの地位に居たのでしょう。ただ、何かをきっかけに今の生活を選んだ。”選んだ”であり”選ばざるを得なかった”ではないのは、作品を観ていれば分かります。

全くまとまってませんが、こんな感想。
『Perfect days』とは良い作品名ですね。
ぽんず

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