めちゃくちゃ良かった。
セリフなんてほぼ無いし、大きな事件も無ければ起承転結があるわけでもない。
独身でボロアパートに住む、トイレ清掃員の冴えないおじさんの日々のルーティーンを、ただ淡々と描いているだけの映画。なのにすごく幸せな気持ちになる。彼みたいに生きたいと思う。
きっと彼の日々は、SNSに投稿したら、全然良いねなんてつかないような毎日かもしれない。
でも彼は他人の物差しで生きてない。今ある日々を丁寧に幸せと感謝の気持ちを持って生きている。彼が自ら掴み取った生き方だからこそ、トイレの掃除もプロ意識を持ってやっている。その姿がとてもかっこいい。
私が彼の生き方で特に良いなと思ったのが、毎日生きていく中で、彼自身も不愉快な態度をとられたり、嫌なことを言われたりするんだけど、それらのネガティブな感情に引っ張られず、その後に見つけたちょっとした幸せの方の印象を自分の中で大きくして、ニコリと笑うところ。すごく素敵だなと思った。
役所さんがゴールデングローブ賞で男優賞を受賞されたのも頷ける。平山という男にしか見えなかった。表情で全てを語る演技凄すぎる。
幸せとは何か、大切なことは何かを教えてくれる、とても素敵な映画。
あー贅沢な幸せな時間を過ごさせてもらったなと、心の充足感を感じながら映画館を出ることができた。
映画館から出たら、世界がいつもより輝いて見えた。
