たにぐそ

PERFECT DAYSのたにぐそのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.7
え、俺の話ですやん

孤独を愉しむ、安価なエンタメ、仕事はそこそこ、清貧、シンプル、几帳面な暮らしを是としつつも、「労働負荷、健康、お金、人間関係」がノンストレスで絶妙なバランスの上で綱渡り的に維持されていていることに薄々気づいていく感じ

変わらないものは心地よく尊いが、だからこそ人生の不可逆性と向き合う辛さ

悪く言えばモラトリアムをずるずると中年まで続けてしまったとも言える

歳を取り飯を食う限り、自分自身の老いや社会の変化に合わせて少しずつ変わらざるを得ない、どうしようもない哀愁、俗世への諦観と後悔の涙が刺さる刺さる

仙人のようなホームレスを羨望するもののそこまで振り切れない曖昧さを持つ主人公が、浅草駅の旧地下道から新地下道への境目をぼんやり眺める視線もまた象徴的だった

三十路になったばかりですが、今後社会とのつながりをどうしていくのか、スカイツリーのお膝元でどう生きていくか、を突きつけられたような気がした…というと大げさですかね?

後は通勤風景だけでちゃんとロード・ムービーやってるのもすごいアイデアと思いました

あと本筋には全く関係ないですが、おじいちゃん2人による金隠しはパルム・ドール級のチームプレーでしたなぁ
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