人生の中で、いちばん好きな映画になったと思う。
繊細で、豊かで、青々しい。
平山の日常は、毎日なにもないようだけれど、何かある。
変わらないものと変わるもの、変わっていくもの、変えたくないもの。
その時一瞬の、かけがえのない一瞬を丁寧に捉える平山の生活は、忘れかけてしまう大切な気持ちを教えてくれた。
どうも、この日常にいると、鈍ってしまう。
日々の一瞬一瞬やゆらめき、ひかりがあるのに、目を向けていない。
インスタントな気散らしとその場その場の高揚だけを求めて、じっと見る、じっと待つ、じっと繰り返す、その場で解決できないこともゆっくり委ねる
ができなくなっていると思っていたから、この映画が教えてくれた。救われたとお思った。
私がつくりたい美しさ、ここにあった。
日々のゆらめきに目を向けられる人でありたいなと思った。