このレビューはネタバレを含みます
公衆トイレの清掃員・平山の一日は、近所の箒の音で目を覚まし空を見上げるところから始まり、寝床で文庫本を読むところで終わる。その間のひとつひとつの行動も、なんとも身の丈に合った気持ちよさがあり、見惚れてしまう。
贅沢、でもない、ていねいな暮らし、とも違う、切実な豊さ、とでも言おうか…。
こんなふうに生きていけたなら、とポスターにあるが、なんともうらやましく思ってしまう。
寡黙な（かといって、暗いわけではない）平山というひとと、その生活。そしてある種の凄み。これだけで私は引き込まれて参ってしまったのだけど、そこにいろいろと変化が訪れて、後半は平山がんばれ！という視点で観ていた笑。
屋外で働く労働者の視点でも、かなり移入するところがあり、唸ってしまった。
そしてなによりこの映画の白眉は音楽でしょう。軽ワゴンのカーステで聴くカセットテープのヴェルヴェットアンダーグラウンドや金延幸子。Pale Blue Eyes！大好きな曲だよ！
