この映画は観る人で色んな感想があるんだろうなと思う。
映画のタッチはすごくpopで見やすいし、過度な汚い部分や醜い部分はあまり見せずふんわりそれを感じさせる描き方で、見る側がその先の本当の日本の現実やリアリティを想像しなくちゃいけないとは思う。
映画の中のいい側面をあのリズムで見る分にはとてもいい映画だけど、見ていてこの映画には色んなグラデーションがあって、どこまでそれを感じ取れるか、リアリティをイメージできるか、またはどの部分を大事にするかで良い悪いの感想が変わるんだろうなと思った。
自分的には単純に海外の監督が日本の美徳とされてる部分をあれだけ描いていて、日本のその感じわかるんだーって嬉しかったし、彼自身が日常の中のささやかな幸せやいい時間、いい景色、いい視点をもって生きてるからこそ描けるシーンがたくさんあって、俺もそうやって生きてるよ!めちゃくちゃいいよね!とおもった箇所が多かった。小津安二郎が好きなヴィムベンダースを随所に感じれて嬉しかった。
ただ東京トイレという大きいテーマがあって、そこにはスポンサーがいて、少し広告的なニュアンスも含まれてるなーってみえるとこもあったりして、そこはモヤってしたり。
なんか映画を作るって純度100%で作ることの難しさも感じる作品だった。
たくさんいいシーンに共感しながらも、コマーシャル的なニュアンスを感じたりしてる、こう感じてしまってる自分が汚い心なのかな?とか見ながらたくさん色んなことを考えて咀嚼しながら見てた気がする。
でも映画館でこの作品をみれてよかったし、日本で見るのと海外で見るのでも感想は違ったのかもしれない。
日常に対する良い視点をより意識しながら生きていきたいし、人に、自然に、優しく感謝していきたい、みんな違ってみんないいし、全てはちゃんと気付けるかどうかで、ちゃんとありがとうって気持ちを、愛を持つことが大切だよねって当たり前だけどそれを優しく伝えられた。
あといい音楽って時代を越えるし、記憶に寄り添ってる音楽ってなんか笑顔だけど泣けてくる、ラストシーンの顔ってそんな表情だった