junkoFeb4

PERFECT DAYSのjunkoFeb4のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.8
鑑賞後 Perfect daysのプレイリストを聞いています

映画も曲も
とても良かった

平山が清掃用に使う車にのせている
いくつかのカセットテープからわかる
彼のセンス

さらに彼が好む本たちからも
彼の知性が感じられ

無駄のない動き
無駄をいっさい省いた生活


4:3のスタンダードサイズの画面からも

もうすでに

そこにはアナログな平山の世界が広がっていて
電化製品はほぼなく
愛用しているカメラはフィルムで
携帯は仕事用のガラケー

かっては裕福で世間的には勝ち組と言われたのかもしれないが
彼はそれらを捨てて
あるいは捨てなければならず
こうした生活を送っているのではと
思いながら

ストーリーが進むにつれ
それは確信めいてきて

しかし
彼がたどった人生の今が
彼にとって満ち足りたものであることは
間違いなく

空を見上げ
木漏れ日や樹々が
彼に生きている喜びを
与えてくれているように


日々同じことを繰り返しながら
些細な出来事が波紋のように
平山の心をざわめかせ

それを
困惑しながらも
ふっと微笑み
時には涙し
また日々を重ねる

まるで僧侶のように

たんたんとたんたんと



ラストの平山の長回し
いろんな感情がないまぜになった表情が
本当に素晴らしくて
役所広司という俳優がいてこその
作品だなぁと
しみじみとリアルタイムで役所さんとヴェンダース監督が作り上げた世界に没入させてもらえて嬉しかった

公園の浮浪者の田中泯さんの動作がさすがで
ガールズバーで働くアオイヤマダさんといい 
ダンサーの方々の動きはどこかきれい

石川さゆりママの歌声もすてきで

すべての配役もパーフェクトでした


鑑賞後、じっくり映画の公式サイトを観ました
ヴェンダース監督と役所広司さんのそれぞれのインタビューがあって
監督が平山について僧侶をイメージしていたと知ったり(すごく納得)
小津安二郎監督の影響力や映画の背景を
とても興味深く拝見しました
前情報なしに観るのが好きですが
また観てみたいなと今思っています