主人公平山の過去についてほぼ説明がなく、少しの台詞と表情だけで、バックボーンが浮き上がってきて、本当にそこでそういう人間が生きてるように感じさせる役所広司があまりにすごすぎる。
平穏で完璧な日々を願うけど、周りからの光で浮き上がってくる自分のどうしようもない模様とか影って感じ。
平山のやさしさと不器用さに涙。
どんな人に対してもやさしい眼差しを向けられるのは、他者の中の欠けた部分に自分を見ているからなのかもしれないと感じた。
劇中に流れる音楽もとてもよい。
家にある不要な物はすべて捨てて、しばらく使っていなかったフィルムカメラをまた始めたくなった。
映画館で観られてよかった。
追記
観終わった後、公式ホームページのヴィムヴェンダース監督のインタビューを観た。
平山の過去について触れられていたけれど、作中では語られていないのにそれを滲ませる役所広司の演技はやっぱりすごい。
フィクションの中にはドキュメンタリーを、ドキュメンタリーの中にはフィクションをという話がとても印象的だった。