このレビューはネタバレを含みます
「わからないことがわからないまま終わる」
最初の方のシーンで、
トイレ掃除してるにも関わらず入ってくる人にめちゃくちゃイラッとした私。
なのに、平山はそそくさと持ち場を離れて上を見上げて微笑む。
他人の行動で自分の機嫌が左右されてないことに驚き、なんかそっから私の涙腺ぶっ壊れた。
なんだか最近他人の予想だにしない行動とか発言で、自分の感情が動いたり、機嫌悪くなったりすることが多かった。
というか、ほとんどがそうだったから平山の行動が衝撃すぎて、自省という自己嫌悪が襲って来て、やるせなさすぎて涙が出てきた。
私は何を軸にして生きているんだろう？
もうSNSにいる全然知らない人の発言にもムッとしたりしている。
これに腹を立てるのって、私の軸、核となる部分を形成するものではない。
あの怒りって何だったんだろう。
そうやって考えながら観ていて、自分が生きていく上で大切にしていきたい感情や、物事、ふりかえりの時間でもあった。
平山さんが、本当に平山すぎて、
役所広司なんだけど、平山さんで。
そこに存在しているんだよね。
だから、その反動で
田中泯の舞い！！
ホームレス、いや国宝！！
石川さゆりの女将さんの一曲。
いや、貫禄ありすぎ！うますぎ！
どういう世界線？！ってなってしまった。
それくらい平山は平山さんとして存在しているもんだと思ってしまう。
観終わってから数日経ってる今も、
観た時の感情をリアルに思い出して、
考えることも多くて、本当にスルメ的映画。
考えれば考えるほど、もう一度見たくなるし、
いいや、見たいというより平山さんに会いたくなるんだよ。
ラストの平山さんの感情を理解したい。
共有をもう一度したい。
何だかわからないまま、なんだかボタンをポンっと押されたように泣きながら観てた。
なんで泣いたのかわからない。
けど、そのシーンを思い出しただけでなんか泣けてきてしまう。
なんか最初は、同じ時間に目覚めてすぐ支度をして、同じ繰り返しをするから、受刑者だったのかなー？なんてぼんやり推測しながら観ていて…、でもあれ？なんか違うかも？
と思ったら今までの邪推がすごく恥ずかしくなってしまった。
こうやって人を私が知りうる限りのテンプレに抑え込もうとしている。
だから、最後の平山の表情が何を現していたのか掴み切れなくて、それを推測するのも怖いなと感じていながら、だけどもそれ以上の感情が私に襲い掛かってきて、見事に何にもわからない状況でめちゃくちゃ泣いた。
劇中歌も良すぎる。
2023/12/30
