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PERFECT DAYSのenniのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.8
妹や姪の生活水準からして、何かしらの過去があって今の仕事や場所を選び、人間よりも木々との距離が近くなったのかと推測してしまう。
平山の過去に触れることは劇中で殆どないけれど、人間(平山的には家族?)関係や資本主義的に毒された場所から脱して、あえてこの生活を送っているような。
自分の心の動きを外(他者)に出さない生活は、不健全な気もするけれど、一人で完結できる生活を築き上げた平山にとってはそれが最適解だったんだろう。

トイレ清掃員として、早朝から身体をフルに使い、美しい日差しが差し込む時間の銭湯で汗を流して身体を癒す。夜風に当たりながら行きつけの居酒屋で同じメニューを頼む。帰宅して読書に勤しみ、心地よい睡魔に誘われて眠る。
自分のコントロールできる範囲で、生活することの喜び。足を知る。
他者との交流を必要最低限に留めることによって、怒りも悲しみも生み出さない。そうすることで、コントラブルな生活と、心の平穏を常に保つことができるのかもしれない。

一人暮らしをしていると寂しいなと思う時もたまにあるけど、これも一種の幸せなのかと思えることができて、平山に感謝している自分に気づく。

ただ、扱っているトイレがどれもハイテクで綺麗すぎるのが気になったけど。もっと普通の暗いトイレの中に入ってくる外の光をキャプチャすればリアルさが出るのにな〜と思った。TOTO、、、!
他にも、質素で素朴な生活を嗜む割には?な食生活も気になった。植物を愛でる人は同じベン図に位置しそうな自然派な食事も好みそう。謎のアウトソーシングが気になる。
この趣味ならこの趣味も好きだろう、みたいな点と点が繋がっていないところは気になった。
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