終始乗りきれなかったというか、ずっと違和感が付き纏う映画というか……
でも、映像から（直接テーマに関係するかどうかは分からない）とりとめのない色んな考えに飛ばせてくれたのは、良かった
くらいだったけど映画館から大学まで、大学から家まで、家から大学まで←この時間全部使ってぐるぐる考えた結果遅効性で文句が粒立ちに
なんとなくのあらすじから、
つまり清貧モノってことでしょ？
どうしたって続いていくしょうもない日々、それでも小さな煌めきを見つけて生きていけたら幸せじゃないか、ってテーマなんでしょ？と決めつけており、まあそれに対して悪感情があるわけじゃなかったが変わるべき今は観るべき映画でないと思って観ていなかった
けど年度も変わったことなので、観ました！
実際は、清貧を描く作品という面よりも、ヒラヤマが孤独につくりあげた完璧な日々、ルーティンワークを描く！って側面のが強い映画で、良かった
ヒラヤマだけにスポットが当たるシーンは総じて良かったなー
が、そこへ物語的な不確定要素（不真面目な若い同僚、水商売をしている若い女、迷子の子を探す母親、家出姪、行きつけのスナックのママの元夫など）がちょこちょこ挟まってくる……けれども、そのどれもが単発すぎて、（作風のこと鑑みたって）つまらなかったしなんなら苛立ちさえした
事実人生は物語ではないので出来事はすべて独立している、それが日常ってもんか？いやそれにしてはどいつもこいつも物語用の役回り、セリフすぎる……と
不真面目で後先考えない若者のステレオタイプを悪みたいに描く
「清掃員」と繋いだ手を除菌シートでふく母親を悪みたいに描く
まるでヒラヤマの生き方こそが正しくないか？こうあれたらいいのにねーと提起するみたいだ
いーや、こんな人生決して良くはないんだよ
もとの思想がどうであれ、そこには幸せのハードルを下げる努力が存在するんだよきっと
けれども……という、そこを単なる清貧モノ、単なる二項対立に終わらせずもっと繊細に描かれることを期待してしまってた
一応、姪を迎えに来た実妹と別れた後の涙やラストの表情が語るものがそれにあたるんかしら？と自分は感じたけど
だとしたら余計に、こんな生き方を天上から賞賛するみたいなことはやっちゃいけないだろ
※ショッピングモールの子どもを遊ばせておく区画
休日を、そこで遊ぶ実子を眺めているだけの大人
あれ見る度にほんとゾッとするんだよなー
遊園地のアトラクションに乗ってる子を外から眺める親、は好きなんだけどね
双方向性を感じられないことが怖いのかなー その瞬間どこの人生にとってもあんた枠外じゃんって思うのかも
（トイレ清掃という仕事上公園の描写が多く、その分前半は子どもがたくさん出てくるのでかなり子どものことばっか考えてた）
不安定な若い女にほっぺキスされてパーフェクトデイ〜♪じゃないんだよ
家出してきた姪が部屋で着替え始めて大慌て！じゃないんだよー
いけ好かない若者が障害をもつ子と仲良くしているところを見て、これにはニッコリ、じゃないんだよ
ここらへんは自分の倫理観と照らし合わせた際気持ち悪かった、ヒラヤマの精神の熟れてなさを描く役割があると考えたとしても……うーん
でもほっぺチューのシーンは、中年以上の男性にとって性欲を超えたなにか最高の瞬間なんだろうなと想像できるし、その光のことは否定したくない
だからこの映画には必要なシーンなのだと思う ことにした そのほうがいいし
作品だから仕方ないけど、親戚からの職業に対する目を哀れみと隠しきれない蔑視として描くならば東京の、綺麗で、なんならアート性のあるトイレばっか映してちゃ意味がないのでは？と
どうしてもそこに欺瞞を見てしまうんだよな 温室からお送りする温室向け映画だと思っちゃう
※単調な日々だと夢の内容がまるきり日々の写し鏡になるよねー
フィルム世界からほうきの音で起床するシーンずっと好きだった ウキッとした
車の中でしか流れない音楽、都度ブチッと途切れるのが心がザワついて良かった
音楽がずっと良いのと、
ラストのカットがめちゃくちゃ良かった
ヒラヤマの表情がずっと良かったな〜
でもさあ！これだって映画的すぎるよ
役所広司の鍛え抜かれた表情筋だから、良く見せられてるだけです。真にこういう生き方してる中年の表情筋はもう動きません。
いやーーーなんだろうなー普段フィクションはフィクションと割り切って見れる（そうありたい）タイプなんだけど、この映画観てる時は変に現実のこと考えちゃって、この作品や社会の上の存在のことを考えちゃって、こんなつくり物はクソ喰らえだって思っちゃったよ
2024/04/23 追記
ぼくはスカイ・クロラ派
カミュ
