このレビューはネタバレを含みます
家で映画を見るとつい何か作業をしながらになってしまうから映画の世界に没頭したくて久しぶりに映画館に行った
歳を重ねれば重ねるほど、色々な苦悩や葛藤が増えて、人に語るに値しないことでも当人にとっては心揺さぶられることもある。
平山が今の生活をしている理由、多くを語らなくなった理由、家族との関係等、現在の姿に至っているのには全て理由があるのだなと思うと、人の人生は一言では語りきれないものであり他人が詮索して決めつけるべきではないと本当に思う。
平山が何度か涙を流すシーンがあったけれど、きっと側から見たら淡々として疲れ切った無欲な人に見えるけれど、当人の心はきっと、こんな不条理で不可抗力だらけの世界にも少しばかりか期待をしていてこの世界に美しさをきちんと感じ、生に対する情熱が残っているからこその涙なんだと思った。
ただ平山自身も達観しているように見えて、自分自身の事を理解し語りきれていないように感じたし、余裕がない時に感情があらわになったりしていてとても人間らしかった。
眠りについてから朝起きるまでに毎回流れる映像が、平山の思考の深部を映し出していて個人的にすごく感動したのと、同じように見える日常でも全く違うのと同じで、カメラの画角も毎度斬新で凄かった。
結局どこまでいっても人は人によって感情を動かされ乱されるものであって、人との繋がりから生まれるものが全てなんだと思った
こんなにも言葉ではない部分で語り、物語を成立させてしまう役所広司は素晴らしい
