Lilly

PERFECT DAYSのLillyのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.2
Perfect days やっと観れた しばらく
シアターに行く時間もなかったから嬉しい

監督は日本人では無いことに驚いた

日本文化の良さを理解して尊敬の念があるから撮れた作品に見えた

海外から日本への渡航者は
皆口揃えて言うのは 
日本がいかに素晴らしい国かってこと
治安の良さ 清潔で礼儀正しくて 電車もほぼ定刻通り 宅配便の遅配 工事契約など違反なども割と少なく 公共トイレの清潔さ 災害時も秩序を守り譲り助け合う精神を持ってる人が多い

海外行けば 余りの違いに驚き
日本の良さを改めて感じる

トイレを見たら その家庭の暮らしぶりが良くわかると言うけど
維持管理する人物の人柄が はっきりと現れるからだろう

平山はプロの清掃員だが 丁寧な仕事ぶりは動きに無駄がなく
無口で淡々と便器を磨き上げ
後輩への眼差しも温かい
世間的には日陰の仕事ながら
自分の仕事に誇りを持ってるようにも見える

側から見ると 特に進んでやりたくない わざわざ選ばない仕事だろうに インテリで有能な彼が
何故この職を選んだ?と言う疑問がふつふつと湧いてくる

平山の暮らしは 質素で清貧の思想を体現したようなもの
毎朝陽が登る前に起き 顔洗い支度して作業着に着替えて車に乗る

携帯もパソコンもTVもない
(ガラケーは会社貸与品)
カセットテープと本だけは揃えていてお気に入りを選び 日夜楽しむ 
昼食は好きな神社で好きな木を眺めながらサンドイッチを食す

決まった時間に決まった場所で繰り返す暮らしだか
木漏れ日を切り取ってカメラにその一瞬を残している

刹那の繰り返しが
一日を作り
一日の繰り返しが長い人生を作る

彼は一瞬が自分の命の一滴一滴のしずくだと知ってるから
愛おしく大事にしている

過ぎてしまえばもう二度と戻ることない時間がいかに大切か

途中で平山は裕福な家庭の出だとわかるシーンがあるが 何故そんな生い立ちから 今の暮らしに至ったかは 観る者の想像に委ねられている

長く歳を重ねると 人生はそうは上手くいかず挫折も後悔も屈辱的な思いの数々を背負い生きる

己の人生と重ね合いながら
平山の姿を見つめて 心揺さぶられ共感するのだろう

家族 特に父親との軋轢があった風で内容は明かされないが彼の記憶に重石になっているようで

誰にでも過去の大小トラウマはあり あぁ自分にも思い当たるわと感じる

いい音楽に心癒され 背中押され
 
想像力を掻き立て
思想を深めてくれる本と出会い

人からは見向きもされない影に咲く雑草みたいな掃除仕事も 誰とも話さなくていいしし自分のペースで淡々とやる孤独な仕事
(掃除は禊ぎになると言うが
終えると気持ちがすっきりして
心まで清められる気がする)

平凡でワンパターンな暮らしながら
微かな楽しみや 人との関わり合いがあり 温かい気持ちになったり そうでなかったり変化がありつつ それもまた淡々と受け止めてる様子

人生で 真の豊かさとか何か

美しく本質的に良いものを見極める感性や
審美眼を持っている若者⇨ニコ  

人間力というか
良い男の本質を見抜く力がある ⇨
柄本時生の憧れの女の子 (名前失念)

包容力あり過去に訳アリそうな
歌上手なスナックのママ

感性豊かで聡明そうな3人の女性の登場がいいスパイスになってる
平山の人間性が 
彼女らの心に響く

平山がもしも出会い系アプリに
登録なんかしたら
絶対に誰からも見向きもされないだろうし

選択項目から最初の段階で弾かれちゃうだろうけど
そんなAI機能には到底判定できない魅力を持ってる男が
平山だ

地位 名声 経済力 豊かな人脈は 確かにこの世では
煌びやかで大勢の憧れの対象ではあるが

平山は(過去には持っていたように感じた)それをある時点から 少しずつ捨ててしまったように思う

エンディングのドライブのロングショットの表情に
全て込められていて
観てよかったと感じた
Lilly

Lilly