2024年度の年間ノルマ70本中108本目。
見させて頂きました。
多分今期はこちらの作品がラストになるかと思います。
まぁちょうど煩悩の数という事で除夜の鐘的な感じで良いんじゃないですかね?
何が?
さて、こちらの作品ですが、実際のところまだ何も予備情報は知りませんけども、役所広司が出るということ、そしてなんかそれなりの映画のコンペに出品した的な?あれ?なんか大きな賞とか取ったんだっけ?
という様なレベルの知識しかありません。
しかしながら色々と調べていくとですね。
こちらが日本とドイツの合作であるということ、そして監督がヴィム・ヴィムベンダースという事、
映画制作のきっかけが渋谷区内の17ヶ所のトイレをなんていうんだろ?宣伝ではないですけども、刷新するために作られたプロジェクトのPR活動として作られた短編オムニバス映画の予定であったそうで、
短めのアート作品として制作するつもりだったんですよ。
しかしながら白羽の矢が当たった監督のヴィムが日本滞在期間中に接した折り目正しいサービスや
公共の場所の清潔さに感銘を受け、長篇作品として再構想したそうです。
とまぁ、こちらが作品の内容には触れない事前情報というか、事後情報です。
まずはネタバレなしの率直な感想をば述べたいと思います。
『ストレートに表のメッセージだけを受け取ってみたら、個人的にはちょっと退屈というか、何も予定がない休日みたいな心地よさはあるんですが、非常に平凡でした。
ただですよ?
作中でずっと感じてしまうんですよ。
なーんかこの映画やっとるな?みたいな空気感。というか、必要ないべ?もしこの映画がそっち系の癒やされノホホン映画であればこんなシーンは、
みたいな事をどうしても感じてしまう映画でしたが、正直なところまだどんな映画かを
理解したかと言われれば、表向きのメッセージを受け取っただけにすぎず、これから色々と考察を巡らせていこうかなと感じております。
ただそれであったとしてもこちらが良作の部類には入るだろうなと思えたのはやはり役所広司がイキイキとしてくれているからであり、彼の感情の機微が嬉しかったり、寂しかったり、複雑だったりと、見ている側にも伝染するのが非常に、なんか、
なんていうんだろ。
嬉しいみたいな、でもちょっと不安みたいな。。そんな映画でした。まぁ僕は疑ってますけどね!まだ見てない方は是非ともお勧めします。』
そしてここから先は作品のネタバレを含む感想になりますのでまだ見てない方はご注意をしてください。
まずですよ??色々とかなり引っ掛かるシーンが多いんですよ。
まぁずっと引っ掛かりっぱなしではあるんですが、例えばざっくりと、
結婚はしてるのか?とか、子供はいるのか?とか、その辺の主人公平山の予備情報の少なさなんですよ。
スカイツリーがすぐそばに見えるあたり、多分押上とかそっち系に住んでて、毎朝渋谷方面に向かって仕事をしてるのはわかるんですが、
その割には結構古いアパートに住んでいる点。お金は?貯金は?贅沢をしている様には見えない。仕事ぶりからしても不真面目というわけではないからこそ、
ではなぜもっと良い職にというか、良い給料の出る仕事、普通のサラリーマンでも良いですけど、そう言った仕事に就かずにトレイ清掃なのか?
これは誰がどう考えても過去に何かあるんですよ。ただ全く語られません。想像するしかない。ヒントとなる人物に作中中盤に登場する姪のニコがいます。
彼女と数日過ごした後、自宅に母親が迎えに来るんですが、運転手付きのレクサスなんですよね。最初は別れた妻と、自分の娘かと思ったんですが、どうやら妹と、その娘だった様で、
彼女から読み取れる情報としては、
『妹と平山は住む世界が違う』
『父はもうボケてしまって、かつてのような父ではなくなっている』
『本当にトイレ掃除をしているの?』
セリフだけ取ってもこれぐらいなんですよ。
もしかしたら平山は実は結構な会社の社長のご子息で、次期社長としてバリバリ働いていた。
しかし、父親との確執、喧嘩?から決別の道を辿る事に、
が、まぁ想像できる。。ただ実は正直な話僕は平山は、
刑務所に入ってたのでは?って思えてしまうんですよ。
平山の一日の生活や、ルーティンを見てもほとんど決められたルートというか、
日常の小さな喜びとか、丁寧なトイレ掃除とか、無口な理由とか考えると、
やっぱりアレ?これなんか事件かなんか起こして刑務所で10年くらい食らってない?
って思うんですよね。と言うよりはそう考えると割と腑に落ちるんですよ。
元受刑者でもなければ無欲すぎて人間味がなさすぎるんですよ。
慎ましすぎるでしょ、あんなに真面目で無欲な人はもっといい暮らしして欲しいって思うのが日本人としての本質でしょうよ。
妹とのハグや、ラストの涙、
なぜ?って考えると、一般人と、元受刑者では『住む世界が違う』という単語もわかりますし、家にテレビがないので、カセットを聞いている理由もわかりますし、
何より『影』という言葉が頻繁に出てくるんですが、影とは?影として生きる?
影の美しさ?影のあるところにも楽しみはあるし、小さなことでも幸せはあると言うメッセージともあってる気がするんですよね。
でももし僕の想像している通りの過去があるならば、監督が滞在中に感じた日本人の真面目さや誠実さ、勤勉さや、丁寧さを表現したかったと言う点とは割と離れてしまいそうな気がしないでもない。
元受刑者だからこそ、そこでの生活がそのままスライドしているだけであって、
娯楽がないからこそ小さなことで感動するわけで、
ただ、本当に刑務所の中では何もない繰り返しの日常かもしれませんが、
外の世界では、同じルーティンでも、同じ一日なんて一日たりともないと言うメッセージも受け取りました。。
これから色々な人の考察も漁りたいと思います。
今回はこの辺にします。