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Banel e Adama(原題)のOmizuのレビュー・感想・評価

Banel e Adama(原題)(2023年製作の映画)
3.2
【第76回カンヌ映画祭 コンペティション部門出品】
セネガルのラマタ・トゥレイ・シー監督の長編デビュー作。カンヌ映画祭コンペに入選、メルボルン映画祭ではBright Horizons賞を受賞した。

映像は美しいが物語として弱い。フェミニズム的メッセージを持った作品なのは評価できるものの、それを上手く消化しているとは言いがたい。悪い映画ではないが、少なくともカンヌ映画祭コンペに入選するレベルではない。

閉鎖的なセネガルの村に生きる夫婦、バネルとアダマだが、バネルは村を出たいと思っている。しかしアダマは村の役職を命じられ…

ある視点部門だったらもっと暖かい目で観られたかもしれない。しかしコンペとなると必然的にハードルが上がってしまう。

バネルの心の機微を描いているが、映像に頼りすぎて深みが足りない。村を出たいという思いも空回りしているように見える。彼女に対するアダマもキャラクターとしてイマイチ何を考えているのか不明瞭。

映像は素晴らしい。光を上手く使い、セネガルの乾いた大地を捉えている。それがもう少しキャラクター描写に効果的だったらよかったのだが…

悪い映画ではないし、注目の存在なのは納得。一作目でカンヌコンペに入るという快挙は少々ハードルが上がりすぎてしまったがすごいと思う。魅力的な絵力があるのは確かなので、今後に期待したいところ。
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