プライ

メイ・ディセンバー ゆれる真実のプライのレビュー・感想・評価

5.0
当時36歳の女性が中学1年生の少年と不倫関係を持ってしまった事件が映画化することになり、現在は夫婦となった2人を主演女優が密着取材するドラマ。

密着取材という行為が極限のサスペンスと化すトンデモ映画。ナタリー・ポートマン演じる女優が夫婦のプライバシーにズケズケ踏み込む度、女優と取材先の夫婦の3者が化学反応を起こし、3者とも漏れなく精神を蝕まれている。夫婦にとっては今日までの人生を詮索されること。女優にとっては真実が霧のように曇っていくこと。誰かのプライバシーに踏み込んで真実を追求する行為は関係者の精神を蝕んでしまい、その様相はサスペンスも同然なのだと分かる。また、ナタリー演じる女優が取材と称しながら徹底的に夫婦の人生や人格を洗い出しする行為は、他者の人生をゴシップとして消費する現実世界の人々へリンクしている。

主要人物を演じた3人の俳優陣が素晴らしい。まず、妻役を演じたジュリアン・ムーア。ナタリー演じる女優から不倫の全てを暴かれないよう、多くの言動が真偽不明な体裁を取っているのが凄い。それにより視聴者はナタリー演じる女優と共に真偽の沼へと誘導される。次にナタリー。沼へと引きづり込まれる女優を演じたナタリーは真実を追求して妻の完コピを目指していく役柄であり、とんでもないことに物語が進むほど段々とジュリアンに見えてくる。顔つきが全く違うはずなのに、同じように見えてしまうのは超常現象である。最後に、夫役を演じたチャールズ・メルトンも素晴らしい。世間から不倫で結ばれた夫婦と評されてしまった以上、「自分たちの愛は本物だ」と妻への愛を初志貫徹しなければならない鎖を巻かれた生活ぶりは多量の葛藤が滲んでいた。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐⭐
星の総数    :計20個
プライ

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