今日の試写会は『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』。
重厚で考えさせられる素晴らしい作品だった。ローマとイタリアの歴史と宗教をもっと勉強したくなった。
「誰か」に「いつのまにか」、「洗礼」されたからという理由で、異端審問官に突然連れ去られるユダヤ人の息子。
17世紀って、こんなこと許されるの? 抗議しながらも、なすすべなく息子は連れ去られた。
「エドガルド・モルターラ誘拐事件」というのは、イタリアでは有名な実際にあった事件で、本作も実話に基づく作品だ。
仏教徒で日本人の私には、ユダヤ教もキリスト教も、同じヤハウェを唯一神として旧約聖書が大元となっているのに、なぜここまで対立するのかわからない。かえって宗教があるから対立を生み、偏見を助長しているような気さえする。
6歳でローマに連れてこられたエドガルドは、ローマ教皇ピウス9世の寵愛を受け、次第にキリスト教徒として洗脳(?)されていく。
エドガルドの両親は、あきらめずに事件の真相を追究し、裁判に持ち込むのだが…
この「エドガルド・モルターラ誘拐事件」は、17世紀当時のローマの腐敗した権力とエドガルドの数奇な運命を描きながら、それらがイタリアの歴史的な大変革と共に語られていくところにダイナミックな魅力がある。
そう言えば「異端審問官」って『ベルセルク』にもすごい権力者って設定で出てきたけど、いくらローマ教皇だからって誘拐までできちゃうのか(?)と思ったら、この当時イタリアは小国に分かれていて、ローマも「教皇国家」という「国」だったのね。
その教皇国家の壁を破ってイタリア軍の兵士が突入してくるのが「イタリア統一運動」。
本作に登場する教皇ピウス9世は、秀吉の命によって磔の刑に処された、長崎の「日本二十六聖人」を列聖した人でもあり、日本とも縁のある人なのね。
試写会後にググっていろいろ勉強しました(笑)。
歴史と宗教に翻弄されたエドガルドの一生。ピウス9世の崩御後、エドガルドはどういう選択をしたのか?
鑑賞後、「宗教」というものの意味を、改めて考えさせられました。