富樫鉄火

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命の富樫鉄火のレビュー・感想・評価

4.5
#59
これが84歳の脚本監督作と知って、衝撃を受けた。
演出力、構成、画面、美術、どれをとってもすごい迫力だった。
往年のベルトルッチやヴィスコンティに近いものを感じて、ため息が出た。
この監督の作品は、いままで何本か観てきたが、高齢になるほど重厚さを増すようで、実にすごいひとだ。
クライマックスの“暴動”シーンは、《トスカ》の舞台、サンタンジェロ城の前だと思うが、よくあんな場所でロケできたものだと驚いた。
これが「映画」だと思う。
また、カポグロッソの音楽が特筆すべきレベルで、特にエンドロールの弦楽合奏曲は、映画音楽の歴史に残る名曲。
ヴィヴァルディが現代によみがえって、ショスタコーヴィチやヴィチやシュニトケを知ったら、ああいう曲を書いたのではないか。

(追記)
あの曲は、ショスタコーヴィチの《室内交響曲》でした。
あまりにカポグロッソのオリジナル音楽にテイストが近いので、てっきり気がつかなかった。
音楽ライターとして、お恥ずかしいw
富樫鉄火

富樫鉄火