たむたむ

落下の解剖学のたむたむのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.8
「スティーブン・キングは連続殺人犯か?」

第76回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞、第81回ゴールデングローブ賞においても脚本賞と非英語作品賞を受賞、本年度アカデミー賞でも主要5部門にノミネートされている法廷サスペンス。

雪深い山荘で、視覚障害を持つ息子が父親の死体を発見し、夫殺害の容疑をかけられることとなった妻。法廷で明らかになる夫婦の秘密や嘘から、幾つもの謎が浮かび上がっていく。

むちゃくちゃ楽しみにしていた作品なので、寒雨のなか初日鑑賞してきました⭐︎
これはたぶん、誰かと語り合いたくなるやつ。
まず本作、「誰が・どうやって」を解き明かすタイプでも、伏線回収系ミステリーでもありません。恐らくタイトルの「落下」は、単に不審死事故の事だけを指しているわけでは無さそう。

冒頭ものの10分で事件が発生。そこからグイグイ引き込まれていく。容疑者となった妻サンドラの供述は二転三転し、怪しい雰囲気は拭えず、かといって疑うべき点も見当たらない。
果たして、これは事故か、自殺か、殺人か……

本編の大半が法廷シーンなので、裁判を傍聴しているような感覚でした。謎は残ったままでスッキリしませんが、幾多の賞レースを賑わせるだけのシナリオ完成度である事は確かかと。

ただ、衝撃的な真相が明らかになるとか、ドンデン返しがあるとか、スッキリできるとか、そういったエンタメ要素を期待すると肩透かしだし、人によっては退屈に感じてしまうかも。。

物語の鍵は弱視の息子ダニエルと愛犬スヌープ。
ちなみにこのワンコ、カンヌ映画祭でパルム・ドッグ賞なる優秀な演技を披露した“犬”に贈られる賞を受賞したんだとか。納得の熱演。
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