あやかしゃん

落下の解剖学のあやかしゃんのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

そうだよな、人間ってそういう拍子で死ぬんだよな、と。

自分が書くことを断念して楽しくない仕事に忙殺されかけているので夫の気持ちはわかる。
でも勝手に気を遣って勝手に挫折して勝手に悩んでいる夫に疲れる妻の気持ちもわかる。

息子は辛いけれど、よく傍聴席に座り続けたと思う。
(もしもあの場で聞かず、後から人伝てに聞いては全く受け取るものが違っただろう)

無罪を勝ち取っても、
夫が追い詰められて死んだという事実がわかっただけ。
虚しい徒労。

しかし映画として描きたいことのためには仕方ないにしても、凶器も出せないのに検察は無理筋すぎ。
小説読み始めたときはさすがにイラッとした。
「小説家が夫を殺害!」で盛り上げたいマスコミの回し者かと疑うわ。


観ていて苦しくなるけれど、
巷で「ホットな弁護士」と話題の弁護士の甘い顔と、賢くて健気な犬が息抜きになった。


※追記
ざっと他の人の感想を読んだら、口喧嘩の録音に対する印象が私と違う人が多いようだ。
私はあの録音を聴いて、「ああ、夫の自殺なんだ」と明示されたと思っていた。
必要以上に周りに気を遣いすぎる性格と、成し遂げる才能のなさを受け入れられないプライドで心が分裂してしまっていると感じた。
あやかしゃん

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