クドゥー

落下の解剖学のクドゥーのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.5
『光を閉ざされた瞳だけが、永遠の闇の先を見ている』

雪山の山荘で転落死した男の妻に殺人容疑がかけられるジュスティーヌ・トリエ監督作品は、期待される展開がある程度決まっているジャンルにおいてテーマを上手くミックスし、骨太さという意味では他の追随を許さない実力を誇る法廷サスペンス映画の最高傑作。

まずもって「マリッジ・ストーリー」の地獄度を超える会話劇としてめちゃくちゃ面白いし、日本映画だったら息子の孤独に寄り添うところを独立した個として淡々と描くことで、最後は感情ではなく自分の心で決めるしかないという無敵のメッセージが突き刺さる。

時間を言い訳に完成させられない人々はそもそも才能のスタートラインに立てないと思うが、最近のエンタメは人を自死に駆り立てる因子の発見がネット記事レベルと考えるので、結末が曖昧だと文句言ったり決めつけたりしない人と多いに語り合いたいものである。
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