栞

落下の解剖学の栞のネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

人間というのは非常に多面的で環境、相手、状況、気分等のあらゆる要因によって見える面が変化し、一部分を切り取って「この人はこういう人」と決めつけることのできない存在であるということを再認識するとともに、裁判では全く意図しない些細な日常の出来事や行動に対して強引に意味付けされてしまうのが怖いなと思った。

感情というのは正しいことだけを思えるようには出来ていないから人は正しくあろうと感情と行動を分けてコントロールしながら生きているのであって、正しいは時に優しくないというのを忘れてはいけないと思った。

赤と青がすごく印象的で、感情から行動している場面では青がよく使われていて、正しさを追求するような場面では赤が目に入ってくるように思えた。最後ダニエルが上が赤で下が青の2色はっきりとした服で証言していたのが彼の葛藤を感じられて、体が2つに引き裂かれてしまいそうなほど苦悩したんだろうなって辛くなった。

何かを決断するとき、どちらが正しいのかわからなくても、正しいと信じて道を選んで進んでいくことが大事だと言っていたのがすごく刺さった。

個人的にスリービルボードを見た時と同じような感覚になった。
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