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落下の解剖学のshingoohuchiのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
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法廷では多くの人間が自分の立場に都合の良い真実を語ろうとする事で事実が虚構に変わっていく
と監督のインタビューを読んだ。
その虚構が立ち上がる工程(真実の形を装った虚構)を緻密に描いた作品。
アスガーファルバディの別離も重なるテーマの秀逸な作品だと思うがどちらも人間(夫婦)のエゴが炙り出されていく工程、誰もが他人に知られたくない秘密を持っている事が描かれている。そして自分のためなら我が子の前でも自分のエゴを優先させてしまう悲しい性。子供という社会的弱者を有効利用していること。
違いは性的な描写の有無だろうか。他のレビューを参考にしよう。

他殺、自殺、事故
は結論がなされない通りこの映画において主要な問題ではない。

当事者以外の人間が当該人物について語る事でどんどん虚像が生まれていく様は週刊誌の餌食にされた芸能人から学校、社会での人間関係など多くに当てはまるなと。
あと、同じ夢を追いかける相手と結婚することのリスクたるや。
そうでなくても子供がいる事で時間を奪い合う夫婦の様は非常にリアルだった。
結婚するってそういう事、というのはしてみないとわからない。未婚者には到底想像できまい!