せいけ

落下の解剖学のせいけのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

夫の死というたったひとつの真実から枝葉のごとく様々なカッコ付きの真実が紡ぎあげられていく
主人公のサンドラが作家というところも見逃せない
ある状況からその事象が起こり得るのかを検証し憶測として提言していくさまはまさに物語を作り上げていくように感じた
フランスの裁判ゆえなのか、話があらゆる方向に膨らんで現代社会における問題を批評していく鋭さと単純に文化の違いも面白い
ドキュメントチックなカメラアングルも象徴的で、飽くまで記録された映像でしかないのに、人は何らかの事実を見出そうとしてしまう
法廷という狭い空間の中でとても現代的な問題を描いていく手腕に驚いた
ザンドラ・ヒュラーの演技も圧巻
この後も人生は続いていくという何とも言い難い感触が残るラストが好みだった