Aki

落下の解剖学のAkiのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.0
最後まで事の真相はハッキリとは判らず、推測することしかできない。

それでも息子を見つめる視線には嘘が無かったように思う。
弁護士にはその気があったように思うが、それ以上の関係を主人公側は持とうとしなかったり、夫の映る写真や動画へのリアクションや口論の様子からも、夫への愛情があるように受け取った。(まあでもあのシーンは、実際起きたこと、というよりは裁判に参加した皆が想起したイメージという事だと思うので怪しいところもある)(となると、想像だけの一連の裁判における流れは我々観客もその雰囲気に流されているだけなのか、とも)


にしても夫婦の口論シーンは迫真で、両者の言い分がそれなりに解るなと思ってしまって辛く感じる部分があった。
それぞれにはそれぞれの視点、感じ方があって、その苦しみは当人にしかわからない。至極当たり前ではあるけど。


終盤の、我慢を重ねてきた息子の感情が爆発してしまうシーンの演技がすごいなと思ったが、それより何より犬の演技が凄い。ショッキングなあのシーンはどうやって撮ったのだろう。イヌデミー賞。

最後の息子の弁論シーン。車中の父に完全にシンクロして喋る様子が凄く感動的だった。


ただ,ダニエルの証言が途中翻った件。最後までどっちかハッキリとはわからないので、つまり……。となって、ラストシーンまで違和感があって、なんとも良い余韻で終。
Aki

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