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落下の解剖学のNGのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます



『クロードと一緒に』みたいな構造の映画だった。

サンドラがバイセクシュアルであることや浮気経験があるというだけで彼女の浮気が原因で夫婦喧嘩になり殺害にいたったという仮説を事実かのように語る検事に対し「それはただの妄想だ」と批難しながら「サミュエルの最後の一年を想像しましょう」と仮説を立てるヴィンセントの行動は一見矛盾しているようにも見えるけど、じぶんの目に見えるもの、聞こえるものだけがすべてではない以上〈想像だけで相手を決めつけ、攻撃しない〉〈相手の立場や心情を想像し、思いやる〉というのは他人と関わる上でいちばん大切なことなんだろうなぁ〜‥と夫婦喧嘩の音源を聞いて思う。サミュエルの死因が殺人にしろ自殺にしろいちばんの原因はきっと双方の思いやりのなさだ。

この映画において〈真実〉というのはさして重要なことではないだろうけど、裁判が終わったあと「勝ったら見返りがあると思っていた」と涙するサンドラは裁判に勝ってもサミュエルが生き返るわけではないことを実感して涙しているようにも見えたし、ひとりさみしく眠る彼女にスヌープが寄り添っていた姿を見て彼女はほんとうに殺していないんだろうなと思った。合わない面があったからと言って愛していないわけではないというのも本心なんだろうな。
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