やーすけ

枯れ葉のやーすけのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
4.0
とてもいい映画です。最先端技術やスター、大ドンデン返しという類いの映画ではなく、日常の延長線上にある男女の出会いを描くだけですが、そこに味わいがありました。小津安二郎を尊敬するカウリスマキ監督のスタイルはここでも変わらず、独特の間合いや向き合っての会話は健在。物語を牽引する心地よい緊張感と安心感が共存します。ちょうど似たようなプロットの過去作「パラダイスの夕暮れ」を見たところだったので、両方の違いを楽しみながら鑑賞しました。ラジオから流れるウクライナの戦況は現実と物語を繋ぐとても意義深い試みだったと思います。戦災孤児にスポットを当てた小津の戦後第1作「長屋紳士録」のラストには、上野公園にたむろする実際の孤児たちが映し出されます。両人とも映画の虚構と現実を結ぶことに切実な人です。
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