Miri

関心領域のMiriのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.8
第二次世界大戦中のナチスドイツ支配下にあったポーランドを舞台にアウシュヴィッツ強制収容所の隣で暮らすドイツ人将校、収容所所長ルドルフ・ヘスとその家族の日々をつづった戦争映画。ナチスドイツによる残虐行為を一切見せず、音と雰囲気だけでホロコーストが伝わり、画面に映る鮮やかな色が余計に不気味さを演出している。(あの鮮やかさ『ミッドサマー』を思い出す。)銃声、叫び声、燃えている炎・煙、川に流れる遺体の一部、遺灰(?)といった描写があるにも関わらず無関心でいられる怖さたるや。遺灰と思われる灰を庭やバスタブの掃除に使っているのを見ると胃がゾワゾワし、よくわからない感情に襲われた。おそらく私も気づいていないような描写があるのかもしれないとも思わされた。
個人的に印象的だったのはリンゴの少女。ネガもしくはサーモグラフィーで一連の食べ物を隠して、でも見つけてもらえるように置いておくシーンを描く。白黒で描くことによる、鮮やかな無関心な世界で生きる人達との二項対立を描くとともに、真っ暗闇でその子の熱しか感知できないということを描きたかったのか。わからないけどすごく印象的だった。
正直、今パレスチナで行われている虐殺と壁を隔てて行われている虐殺。結局時代が変わったとしても変わってないんだよね。今作は音だけで間接的に何が行われているかわかるが、今はSNSでガザで行われている惨劇を目の当たりにしているのに国際社会は動かないし動けない。多くの人はこの家族と同じく関心を持たずに平和に過ごすんだよね。何もしていないその姿に自分を見てしまう。
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