エンドクレジットの音楽が怖すぎて『パスト・ライブズ』にすべきだったかと後悔するほど…。距離のあるカメラと音、最後に所長が“いま”を見る演出が秀逸。林檎のくだりが難しかったけど、善意が争いの種になってしまったのが悲しい
所長をはじめとするナチ以上に、自らは手を汚さずに人から散々奪っておきながら自分が奪われることには激昂するヘス夫人の醜悪さがきつかった。彼女のような鈍感である意味無垢な市民がつくる空気が虐殺を後押ししたのは明らかで、いまロシアやイスラエル国内でどんな匂いが漂っているのかと考えずにはいられない。私たちの関心領域を広げる方法は、まずは視ることと、そして考えること?