アウシュヴィッツ収容所に隣接した家で暮らす、ルドルフ・ヘス所長一家の日常を描いた作品。
日本での公開に先駆けて、🇺🇸出張の飛行機内で鑑賞。
起伏には乏しいが、人の本質について底の知れない何かを感じさせられる、示唆深い作品だった。
本作はあくまでも一家の視点を貫いており、収容所内の出来事についての直接的な描写はない。
一家は、死体の焼かれる煙を目にしたり、人々の悲鳴を耳にしたりしながらも、何もないように振る舞っている。
彼らの「関心領域」にあるのは自分たちの平穏な暮らしだけのようだ。
人間の感覚はこうまでも自然に麻痺できるのか…果たしてそれは理性によって抑えられるのだろうか…そう考えると、私は絶望してしまった。
そういえばアウシュヴィッツに行った際、ヘスの家を収容所の内側から見たが、本当に収容所に隣接していることに驚いた。
そもそもなぜ家族と暮らす家が収容所の真隣に建てられたのか?
それは、収容所内で起こっていることについて何の感覚も、罪悪感も持ってないからではないか、と思う。
後ろめたさがあれば、家族には感じさせないよう、離れたところに家を建てるよね、コワイ