さしみ

関心領域のさしみのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

怖い…
観終わって数時間が経つというのに落ち着かない😨

最初スクリーンに何も映らない状態、音だけ…徐々に鳥のさえずり。
実在したアウシュヴィッツ強制収容所所長“ルドルフ・フェルディナント・ヘス”一家の何気ない日常です。
何部屋あるんだろうというぐらいの豪邸でインテリアも素敵。
子供達は学校に通い休みの日は家族揃って川で遊び、庭には温室やプールもありました。
何が起こるわけでもない裕福な家族の幸せな生活をひたすら目で追いますが、、、
そのファミリーの真隣では連日考えられないほどの数のユダヤ人が収容施設に入れられて焼却炉で焼かれるのです。
終始“音”にやられました。
焼却炉のゴーっという音、人の叫び声、銃声、赤ちゃんの泣き声。
ヘス家の赤子もよく泣くのですがもう何処から聞こえているのかよう分からん。
ヘス一家はそれが日常なので何も感じないし奥さんはヘスの異動命令を聞いた時めちゃくちゃキレてました。
“その立地”は彼女にとっては裕福な豪邸での暮らしの前ではなんて事無いんです。
使用人達に複数枚のブラウスを広げて好きなの選んでと言うシーンがありました。
日々ユダヤ人は拘束の際家財や衣服など全て奪われて、ドイツ人がそれを“嬉しそうに”選んで貰うのが当たり前になっていたのでしょうか。
上等な毛皮のコート、高そうな口紅などはヘス所長の妻が。
『誰が』使っていた物で今その人はどうなっているかなんてなーんにも感じない事の怖さ。

立ち昇る煙など風向きによってはダイレクトにきます。
ヘスの妻の母親は荷物をまとめて出て行きました。
娘は(妄想なのか?)収容者達の為にりんごを夜中に置きに行く…。
もう無関心ではいられない居心地の悪さでした。
『おまえはここで行われていた事の何を知ってる⁇』
と厳しく追求されている気分になりました。
ラストシーンは恐怖。
考えれば考えるほど。
エンドロールの音楽は悲鳴に聞こえました。
さしみ

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