らまんば

関心領域のらまんばのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.6
回数を重ねて何度も観たら印象変わるのかな?初見では『ま、そーなるよね』としか思えなかった。)

人間の適応能力って凄まじいから、自己防衛本能が働いて実際にアノ場所に住んでいたら自然と耳に届く音届かない音が取捨選択されて普通の暮らしを送っていてもなんら不思議ではない。平たく言うと『いちいちあちら側の音に心を痛めていたら自分の身が持たない』。だからぽっと出のお母さんはアジャスト機能がまだ上手く働かず、荷物まとめて退散しちゃったのね。それもまた納得。

大人の都合であの場所で生活することを余儀なくされる子供達は善とか悪とか素養を身に付けている過程でのあの特異な環境はダメだろーなー。全部スポンジのように吸収しちゃうもん。

脳みその自己防衛本能の働きにより『関心領域』が変わるというか閾値が高まることで、第三者から見ていたら違和感を感じるような光景でも、当人にしてみたらただの日常。そう考えたらただの日常風景をひたすら観させられていたこの映画に対して『ま、そーなるよね』しか感じられなかった私は何かが壊れ始めたのかな……。

以下、箇条書き
●ザンドラさん演じるヘートヴィヒに夫が転勤を打ち明けた時の妻のアタオカ行動がヤバし。
●最初と最後の音の重なり合いが印象的。あの音のどの部分を脳が取り込むのかは人によって聞こえ方が違うはず。それこそ『関心領域』によるんだろーなー。

※当たり前のことですが、ホロコーストを容認しているわけでは決してないです。
※結構静かに展開されるので食べ物食べる音には注意が必要な映画。
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