Uえい

関心領域のUえいのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ネタバレも何もないかもしれないが、アウシュヴィッツ収容所の隣の豪邸に住む家族をただただ映し続ける内容だ。

原作は、ノーラン監督が好きな「時の矢」も書いたマーティン・エイミスの同名小説で、アウシュヴィッツを舞台に所長と妻のラブロマンスが描かれているらしい。しかし、「アンダー・ザ・スキン」(これは昔見て訳わからなかった記憶笑)のジョナサン・グレイザー監督は、小説の人物のモデルにしたルドルフ・フェルディナント・ヘスを本人として描いた。

冒頭、真っ黒な画面で音だけ流れるシーンは異様な体験だ。そして、自然豊かな田舎町の邸宅に住む家族が、監視カメラ的な少し突き放したような距離感で映される。同時に観客と画面との距離も遠く感じ、退屈な側面もあった。

初めはただの家族の物語のようにも見えるが、父親がアウシュヴィッツ収容所の所長だと明かされ、長閑な光景と裏にある悲惨な歴史が対比される。

途中、今現在の観光地となったアウシュヴィッツが映されるが、そこには虐殺されたユダヤ人の跡だけが残されている。確かにあった事なのに目を向けていないというのは、現在戦争が起きているのに関心が薄れてきている自分を批判されているようでもある。

途中、ネガのような描かれ方で女の子が登場するシーンがあるが、あれはユダヤ人に物資を届けたり助けていた人らしい。調べるうちに良さがわかってくるスルメ映画だ。
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