カレン

関心領域のカレンのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.9
人間は
見たいと思うものを見る
見たくないものは見ない生き物

アウシュビッツ収容所の所長、ルドルフ・ヘスとその家族の暮らしは平和を絵に描いたようなもの

広い庭には木々の葉が風にゆれ、
季節の花々が咲き

子どもたちはウォタースライダー付きのプールで歓声を上げる

妻のヘートヴィヒもこの美しい住まいがお気に入り

鳥がさえずり
空気も美味しい···

いやいやいや

高い塀の向こうの建物は
ひっきりなしに
煙突が煙をはきだし

銃声の音が鳴り響き

叫び声や怒鳴り声が聞こえる

汽車は白い煙を吐きながら
すぐそこに停まる

見えてるけど、見たくない、
聞こえてるけど、聞きたくない


だって自分たちは平和なんだから

所長さんは
「もう少し効率の良い焼却炉にしようか。仕事もはかどるし」
なんて仕事仲間と相談している。


関心領域
全ての人々に
突きつけられた問題

見たいもの、関心のあるものしか見たくない。

きっとあんなことが起きているんだなと思っても、考えたくない。


上映中
時折流れる不快な音に耳を塞ぎたくなる私がいた。

エンドロールの音楽は

私達観客に訴えているようだった。

気づけよお前たち

この叫びが聞こえないのかと
カレン

カレン