TOHOシネマズにて鑑賞。
2時間ずーっと、自分の見たくない部分だけ映す鏡の前に立たされた気分...
音響が飛び抜けて素晴らしくて、遠くの方で微かに聞こえる音が全部本当にやばかった(映画館じゃないと伝わらないと思う)。特に、鳥の鳴き声のシーン。そっちしか気にならないんだっていう...
キャストたちの演技も凄くて、普通に暮らしているところに時折姿を見せる人間の狂気に対して蓋をしている感じのリアリティーが絶妙だった。
演出は飛び抜けて良いシーン(花のアップとか、ユダヤ人の持ち物をさりげなく紛れ込ませたりとか、川の引きの画とか)が多かったんだけど、ちょっと解釈の自由度が高すぎるシーンも多くて、まだ混乱している部分もある。
人間の正常性バイアスも怖かったんだけど、鑑賞後の自分の心の奥底に"自分はヘス一家とは違う"って思い込みたい自分がいることに気づいて、それが一番怖い。
この映画を観た後に"社会に対する強烈な皮肉だ"とか"圧巻"とかの感想を並べた後に、何事もなかったかのように日常生活に戻っていく我々観客の存在も強烈に風刺されている気がして、寝れない。大傑作。
