王冠と霜月いつか

関心領域の王冠と霜月いつかのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

『わかった…依頼を引き受けよう…ルドルフ・ヘス…』
「よ、よくぞ見抜いたゴルゴ13、この38年間、ワシが会った無数の人間の中で、ワシがルドルフ・ヘスだと見抜けたのは君だけだ!!」
~ゴルゴ13/第205話:裏切りのスワスチカより

そのルドルフ・ヘスより、周囲に無関心であり、『お手伝い』の彼女達に罵詈雑言を普通にぶつける狂気の妻。誰かと思ったら、落下の解剖学のザンドラ・ヒューラーさんでした。上手いですね。

ジョナサン・グレーザー監督のインタビュー動画を観たんだけど、あのルドルフ・ヘスの自宅の写真が沢山残ってるんだそーです…あのプールとかお花畑とか…オープンセットで再現したんですね。画を観てるとわかりますけど、殆どが定点カメラを置いて撮影はトレーラーの中のモニターを観ながら行ったんだそーですよ。ザンドラは無人カメラを前にした演技は、「過去の出来事に独りで向かい合う作業だった」とコメントしてました。

ホロコースト映画は沢山あれど、その昔、リーアム・ニーソンがシンドラーが、これをすればアレをしておけば、あと何人救えた!と後悔するシーンで、世界は、イスラエルを認めていない国々以外の人々は、涙したと思うんですが。今、地中海の東に位置する沿岸地域で、被害者は加害者になっているのですね。

メインヴィジュアルのあの漆黒の空は衝撃的です。
 

"Man must evolve for all human conflict a method which rejects revenge, aggression, and retaliation. The foundation of such a method is love." – Martin Luther King, Jr.

「人はあらゆる衝突に対して復讐や攻撃を伴わないような解決策を導き出さねばならない。その土台となるのは…愛である。」
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア

…世界情勢を見渡すと、残念ながら、キング牧師の理想を実現する解決策は未だに導き出されてはいないようですね。