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関心領域のhashiのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.5
なんか個人的に微妙だった。
ブレが多くて何がしたいのかよく分からなくなった映画だった。
アウシュビッツで一番長く所長を務めアウシュビッツの隣に住んでたルドルフ・フランツ・フェルディナント・ヘス一家の日常を淡々と描いてる。
あくまで家族の目線での描写なのでヒトラーやヒムラーなんかは出てこない。
幸せそうな中級以上の階層の家族の日常だけどそこには狂気が潜んでいて、昼夜問わずアウシュビッツの可動音が響き人を焼却する煙が上がり時に人の怒号や悲鳴、銃声が聞こえる日常。子供達は死んだユダヤ人の入歯を貰ってコレクションしていて、ヘスは自宅で効率的に人を焼却できる新しい焼却場の相談をしてる。
妻は多くの使用人を従えユダヤ人女性が着ていた服を大盤振る舞いで使用人達に与える。
彼らは狂人ではなくあくまで普通の人達なのだがそれが当たり前になってしまって本当に幸せそうに感じる。
特にBGMはなくたまに流れる音楽が不協和音で怖さを増長させるのは上手かった。
残虐なシーンをあえて音だけに留めて映像として流さない演出も良かったと思う。
ただよくわからないシーンが多い映画だなとは思った。
登場人物が無駄に多く説明もないので正直見終わっても誰が誰だったかはよく分からなかった。
あと収容者のために収容所に夜間、内緒で食料を隠しにいく女性を夜行性のカメラで撮影してるのだが、後で調べたら当時の関係者の聞き取りでヘス一家の映画での実情を固めたみたいだけどで、その中での実在の人のエピソードだったみたいです。けどこの映画には全くいらないエピソードだなと思った。
音楽だけで臨場感を煽る演出で暗転なども多いのだけど、これが無駄に長く特にオープニングタイトルからの暗点がクソ長く出だしで眠くなる演出だった。
終盤、急に現在のアウシュビッツの姿を映した映像が入り人によっては現代だと分からないまま終わったのではないかと思うけど、ユダヤ人達の悲惨さを伝えるのにも陳腐な演出だし、個人的にこれも本当にいらないなと思った。
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