ユンファ

関心領域のユンファのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.6
アウシュビッツのお隣りさんの日常生活を描いた、トリッキーな映画。

穏やかな日常の裏側に非日常が垣間見える演出は、個人的には好み。塀の外側(赤ん坊や鳥など)と内側(銃声や断末魔など)の音を対比させる演出が上手い。
主人公のオッサンが一服したり、家族サービスしたり、ブラブラ歩いたりしている最中にも、常に「いかに効率良くユダヤ人を虐殺するか」を思案しているのであろうと考えるとゾクゾクするし、クライマックスの時間と空間の跳躍はかなり効果的だと思う。

が、全編に渡って、被写体の動きに合わせカメラAからカメラBへスイッチするような編集が採用されており、編集点に変化が全くないが故に至極退屈。
見せないことの徹底は想像を、想像は不安や恐れを生む。しかしながら、映画は本来は見せることを徹底すべきではないかと考える自分もいて、であるが故に本作のトリッキーな構成を楽しめる部分もあった。

上映終了直後、「結局、隣ん家から出てた煙って何なん?」とコメントした若者に場内が凍りついたことが一番のホラーだった。
ユンファ

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